【『環軸椎回旋位固定』ってどんな症状なの?】
※こちらのブログは、2016年に記載したものです。ご了承くださいませ。
こんにちは。
加古川市別府町 ふじい整骨院のふじいです。
子どもが、首を極端に傾けて、「首が痛くてぜんぜん回らないよ」と言って、朝起床してきたってことを
経験したことはありませんでしょうか?
普通の寝違いにしては、明らかに状態がひどい。。。
「寝違いだから心配ない」っと、ほうっておいたらどうなるか??
先日、中学生の男の子が、「首が痛くて回りません」っと言って、母親に付き添われて来院されました。
首を80度右側へ傾けた格好で、診察室へ入ってこられました。
※写真の掲載をご家族・本人から許可を得ましたので、掲載させていただきます。
まずは、初見の状態からです。
※プライバシーがありますので、後ろからです。この状態で、まったく動かせませんでした。
イラストで表すと(正面から)
独特な状態(特徴的な斜頸位:cock robin position)で固定されます。
よく治療している先生であれば、すぐに判断できます。
よくよくお話しを聞いていくと、
「朝起きると、こんな状態になっていました」 「寝る前まではなんともありませんでした」
とのこと。
さらに、変わったことはなかったか聞くと、
「実は、夜中に寝ぼけて、ベッドから落ちた」と、
ただ、別にその時は痛みもなかったので、そのまま寝入ってしまったとのことでした。
この状態は、いわゆる“子供の寝違い”と表現されることもありますが、実は症状は結構ハードです。
幼児に起きることがほとんどですが、今回のように中学生でも起こることもまれにあります。
どんな状態なの?
首の骨の1番目(環椎)と2番目(軸椎)の所で、亜脱臼してロックがかかってしまった状態です。
模型を使って状態を説明しますと、
まず、正常な状態を模型でみます。
首の骨は、7つの椎骨で形成されています。
その中の1番目(一番上)と2番目の骨を拡大すると、こんな感じの形になっています。
正面から見たところ
真上からみたところです。
(下側が前面、上側が後面)
亜脱臼した状態
(ずれた状態でロックがかかっている)
この状態を「環軸椎回旋位固定」(環軸椎回旋亜脱臼)と言います。
西洋医学的には、1977年にFielding博士により「環軸関節が回旋変形した位置で固定され有痛性の斜頸を呈する疾患」と提唱されました。
原因は、不明なことが多く軽微な外傷、上気道感染、口腔・咽頭の手術、長時間の耳疾患の手術などを契機に発症するとされています。
治療は、まず保存療法が選択されます。
軽症であれば、筋肉のスパズム(緊張)を和らげるだけで良くなります。
小さいこども(幼児)であれば、局所の安静で自然に治ることも多いです。
また、装具療法(頸椎カラーなど)が施されることもありますが、柔道整復師は、軽い装具を作成して包帯等で固定を施します。
しかし、その中でも、治りが悪い場合に病院では入院して牽引治療が行われるとのことです。
幸い当院では、まだ入院にいたる症例に遭遇していません。
まして、手術に至った例はまだ見たことがありません。
それだけ稀だと思います。
治療が遅れると、難治例に移行することも。
1カ月未満(急性例)で、適切な治療がほどこされるとほぼ問題なく治癒するのに対して、
何らかの理由で治療開始が遅れると慢性例に移行する場合もあるそうです。
文献によると、1カ月以上3カ月未満を亜急性例、3カ月以上経ってから治療が開始されたものを慢性例とすると、
亜急性例・慢性例で手術を必要とした例がみられたとありました。
急性例(1カ月未満に治療が開始されたもの)で比較的軽症であれば、ほぼ保存的な治療で治っていますが、
再発するケースも2割弱であるとのこと。
また、難治例(整復困難な状態)では「大学病院へ紹介され、約4%(ある大学病院で10年間で3例)に手術が適応された」
という報告もあります。
小さいお子さんが、今回のような状態になっても適切な治療を受けることで、治りますので心配いりませんが、
中には治りにくいものもありますので、早い目に医療機関を受診するべきですね。
1ケ月経過しても首が元に戻らない、回らないなどの症状残ったら要注意ということになります。
今回受診された少年も幸い順調に回復されました。
※初見から6日目(治癒時)
[…] ふじい整骨院 院長ブログ 「環軸椎回旋位固定ってどんな状態なの?」 http://fujii-seikotsuin.com/blog/archives/346 […]
小学校高学年の子供が全く同じ症状です。本日、整形外科に行きレントゲン→診察をし、環椎軸椎がズレている可能性があるとのことで、その場合、治療は簡単で引っ張れば治るとのことで、確認の為CTを撮りました。明日、結果を伺いに行きます。
大事部分ですので、とても心配しております。治療方法は引っ張るで良いのでしょうか。
突然のメールで失礼を承知の上でご連絡させていただきました。
はじめまして!
ウチの長女も17年前に環軸椎回旋位固定と診断されました。
娘が5歳の頃、(現在22歳です)朝起きると首が傾き余りに痛がるので近くの整形外科に行くと、寝違いと言うことで湿布を出して頂いたのですが、寝違いとは違う気がして総合病院に紹介状を書いて頂き改めて見て頂くと「環軸椎回旋位固定」との診断で首の2番目の突起が軟骨のままだと言われました。
その時は入院して牽引治療をし、全身麻酔をして傾いた首を戻すと言う方法で元に戻りました。
その時先生には定期的に診察をして、軟骨がちゃんとした骨になっているかを確認し、軟骨のままであればある程度成長してから腰の骨を移植する手術をした方がいいと言われています。
22歳になった娘は今悩んでいます。
私としては、今まで生活に多少の制限はありましたが普通に生活してこれたので、このままではいけないのだろうかと思っています。